整形外科
ロコモティブシンドロームとは、日本整形外科学会が平成19(2007)年に提唱した運動器症候群(ロコモ)のことで、運動器の障がいにより要介護の状態になり得るリスクの高い状態を言います。 人間は運動器に支えられて生きており、それを維持するには医学的評価と対策が必要です。ロコモの原因には加齢に伴う変形性関節症や骨粗しょう症など運動器自体の疾患と、身体能力の衰えによる筋力、持久力、バランスの低下や、運動不足などによる運動機能の低下があります。ロコモはメタボや認知症と並び、健康寿命(介護を必要とせず自立した生活ができる期間)の短縮や寝たきり、要介護状態に陥る三大要因の一つです。 ここでロコモや介護に関連する単語の簡単な説明を行います。運動器とは骨、関節、筋肉、腱(けん)、神経など、体を支え動かす役割をする器官の総称です。ADL(日常生活動作)とはActivities of Daily Livingの略語で、食事・更衣・移動・排せつ・整容・入浴など日常生活を送るために最低限必要な動作のことです。身体能力や障がいの程度を計り介護レベルを決める指標は、通常の日常動作ではなく、あくまで最低限の日常動作であるADLを基準としているので、審査の結果が、自分が思っているほどの等級にはならなかったということが起こりがちです。 ロコモと似たような言葉に運動器不安定症があり、65歳以上で運動機能低下を来す疾患にかかって、介護保険でいう日常生活自立度判定と運動機能評価テストの項目を満たした場合に運動器不安定症と診断されます。また、廃用症候群といって、安静状態が長期にわたって続き、筋委縮、関節拘縮、骨粗しょう症などにより、心身のさまざまな機能の低下が起きてしまう場合もあります 高齢者の健康寿命を延長させるには、いろいろな意味での幅広い対応が必要です。かかりつけ医に相談して、予防はもちろん、疾患があれば早期発見、早期治療を行ってください。 |
2017年4月2日