がん
最近、みなさんは乳がん検診を受けていらっしゃいますか。国は50%の受診率を目標としていますが、いまだ到達してはおりません。 さて、乳がん検診は何のために施行されているのでしょうか。早期発見が一番の目的と思われている方が多いかと思いますが、実は、死亡率を減らすことを主な目的として施行されています。死亡率を減らせる検査方法はどんな検査で、どれくらい有効なのかが示されています。 現在、乳がん検診は過渡期にあり、検査方法選択に苦慮する自治体が多くなっています。三鷹市の近隣市でも検査方法への対応はまちまちです。事の発端は、一昨年9月の「がん検診のあり方に関する検討会」からの提言を受け、国が今年度から「有効性が不明だとして視触診を推奨外とした」ことにあります(正確には、40歳以上の女性に対し、2年に1回マンモグラフィー検診を施行する際に視触診は必須ではないとしました)。 昨年5月に厚生労働省の行った全国1737の市町村を対象とした「検診の実態を調べる調査」では、839の自治体が視触診をやめましたが、約半数が継続していることが分かりました。362の自治体はやめる予定がないとも回答しています。また、その理由で最も多いものは、「マンモグラフィーのみの検診の有効性に疑問がある」(32%)ということを挙げており、各自治体の苦慮ぶりを反映していると言えるのではないでしょうか。 マンモグラフィー検診については、米国における導入前後の効果についての論文が出されました。これは導入前(1975~79年)と導入後(2000~02年)の結果を比較したものです。結果は、大きな腫瘍症例数は半分に減少し、小さな腫瘍・非浸潤性乳管がん症例数が倍に増えました。死亡率は導入後の方が低下しています。 また、乳腺超音波検診はどうでしょうか。J-START試験として40歳代や乳腺濃度が高い方に対して、超音波検査を追加すると、1.5倍発見率が高まることが分かりました(残念ながら死亡率低下につながるかは、まだはっきりしていません)。 乳がんに関する治療・研究は日々進化しており、次々に新しいものが発見されています。将来的に検診を効率よく行うため、家族歴や遺伝子情報などから、乳がん罹患(りかん)率が個別に割り出され、検診の方法や期間が個人により変わってくる、なんて日が来るかもしれません。そんな日まで元気でいるために、もし乳がん検診を受けていらっしゃらなければ、次回は必ず申し込んでみてください。 |
2017年4月16日