小児科
小児の皮膚に、生まれた時から、あるいは生まれてしばらくたってから、全身のいろいろな所に生じる赤い血管性の発疹が、一般にこう呼ばれています。多くは遺伝性ではありませんが、原因は分かりません。 最も多く見られるのは、赤い平たんな皮疹の単純性血管腫です。顏の真ん中近くにできるものをサーモンパッチ、首の後ろにあるものをウンナ母斑と言います。自然消退するものがあり、特にサーモンパッチにその傾向が強く、5歳頃までには多くが消退します。ただそれ以外の部位にできているものは生涯にわたり消失せず、成長に比例して面積を拡大し思春期以降、血管腫は肥厚し腫瘤を作ることがあります。顔にある大きな単純性血管腫はスタージ・ウェーバー症候群という緑内障や脳に異常を来す病気のことがあるので、気を付けなければいけません。また、四肢の広範囲に生じたものは年齢とともに患肢が太くなり、肢の長さが伸長してくるクリッペル・トレノネー症候群の可能性もあります。将来的に消えない可能性の高いケースに関しては、治療にレーザーが使用されています。 次に多く見られるのは、いちご状血管腫です。血管の細胞が増殖する病気で体中のどこにでもできます。生後しばらくしてから目立つようになり、1歳半ぐらいまでは大きくなります。その後は静止期を経て小さくなり、学童期以降に消退するのが一般的です。しかし皮膚潰瘍ができたり、目の近くや口唇等機能障害の恐れがある場合、将来的に消失が期待できないタイプに対しては、なるべく早期に治療の必要性があります。治療は近年βブロッカーという高血圧や不整脈に使用していた薬がよく効くことが分かり、最近わが国でも保険適応になりました。そのほか、赤いあざの中には乳児期から播種性血管内凝固症候群という血が止まらなくなり、生命に関わる病気を引き起こすものもありますので、専門の医師に早期に受診しておくことが重要です。 |
2017年6月18日