「呼吸器科で扱う疾患」

「呼吸器科で扱う疾患」

呼吸器科

 呼吸器とは、呼吸した空気の通り道を意味しています。空気の通り道のうち、鼻、口から喉までは耳鼻咽喉科が扱い、呼吸器科では主に気管、気管支、肺胞、胸膜の病気を扱います。胸膜とは肺全体を包んでいる薄い膜のことです。

 呼吸器科を受診するきっかけとなる症状としては、咳(せき)、痰(たん)、息切れが一般的です。このうち咳は、病院を受診するきっかけとなる症状のうち最も多いものといわれます。咳は、喉から肺胞、胸膜に至るまで存在している、咳受容体といわれるスイッチが刺激されることによって起こります。ウイルスや細菌の感染による炎症の刺激が最も一般的で、炎症が起こる場所によって気管支炎や肺炎と呼ばれます。細菌感染の場合は膿性痰を伴うことが多く、ウイルス感染では痰は全く出ないこともあります。同じ炎症でも、喫煙による慢性気管支炎や、喘息(ぜんそく)における好酸球性炎症という特殊な炎症など、感染には関係のない気管支の炎症も咳の原因となります。

 喘息では咳以外に、透明で粘稠(ねんちゅう)な痰や、気管支が収縮することによる喘鳴(ぜんめい)を伴う呼吸困難が特徴的です。肺胞の炎症では、間質性肺炎という特殊な肺炎があり、原因不明な特発性間質性肺炎や、膠原(こうげん)病に伴う間質性肺炎などがあります。この場合は、咳、息切れが主体で、痰はないのが一般的です。

 また、肺がんをはじめとする腫瘍も咳受容体を刺激して咳の原因となります。肺がんでは初期には無症状で、咳などの症状が出てくるのは進行してからの場合が多いため、日ごろから健診を受けることが重要です。肺全体を囲んでいる胸膜に炎症が及んでも咳が出ます。ウイルス性胸膜炎、結核性胸膜炎などが代表的ですが、二重になっている胸膜のうち、外側の壁側胸膜には痛覚神経が分布しているため、胸膜に炎症が及ぶと胸痛も伴ってきます。

 以上、呼吸器科で扱う代表的な疾患とその症状について述べました。咳、痰、息切れ、胸痛などに思い当たる方は、一度、呼吸器科を受診してみてください。

2017年7月16日


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