胃腸の病気
胃がんは以前に比べると少しずつ減少傾向にあるとはいえ、日本人が最も多くかかっているがんです。死亡数でも肺がんに次いで2位を占めており、胃がんで命を落とさないためにもできるだけ早期に発見することが大切です。 検診などで無症状のうちに発見された胃がんは、胃の粘膜の表面にとどまることが多く、治療後の経過が良好なことが多いですが、腹痛、体重減少、吐き気などの症状が出てから診断されると、胃の粘膜の外側まで広がっていることが多く、手術が可能でも再発することが多いようです。 胃がん検診として、わが国で推奨されているのはX線検査と内視鏡検査がありますが、現在、市では胃がん検診としてはX線検査のみが実施されています。今年度の春季の胃がん検診は終了しましたが、10月~11月に実施される秋季の胃がん検診はまだ申し込み可能ですので、最近胃がん検診を受けていないかたはぜひこの機会をご利用ください。 胃がんの原因として、最近、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)との関連が注目されています。ピロリ菌に感染してない人は胃がんにかかるリスクは非常に少ないとされていますが、ピロリ菌に感染している人は高齢になるにしたがって胃がんのリスクが高まっていくことが分かっています。市では40~70歳の、5歳ごとの節目の年齢のかたを対象に、血液検査でピロリ菌の有無とペプシノゲンという胃の粘膜の萎縮の状態を評価して胃がんのリスクを層別化して判定する胃がんリスク検診を行っています。胃がんリスク検診で要精密検査と診断されたかたは、症状が無いからといって放置せずに、必ず内視鏡検査を受けるようにしましょう。ピロリ菌の感染が判明し、慢性胃炎などと診断されたかたは胃酸を抑える薬と抗生物質2種類を1週間内服することによる除菌治療を受けることが勧められています。除菌治療により胃がんにかかるリスクが減ることが期待されていますが、胃がんのリスクが無くなるわけではありませんので、除菌をした後も、定期的に内視鏡検査などで経過を見るようにしてください。 ピロリ菌の感染の原因は完全には解明されていませんが、経口感染であること、幼少時期に感染すると、ピロリ菌の感染が持続しやすいことが分かってきています。ピロリ菌に最初から感染しなければ胃がんにかかる可能性がほとんど無くなるわけですので、次世代へのピロリ菌の伝播(でんぱ)をできるだけ少なくするためにも、若いうちにピロリ菌の検査をして、必要なかたは早めに除菌をすることが大切です。 |
2017年8月20日