「地域包括ケアと在宅医療」

「地域包括ケアと在宅医療」

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 最も単年度人口の多い団塊の世代の方々が後期高齢者となり医療費が最大となる2025年、そして年間死亡者数が最多となる2040年。国はこれらを見据えて数年前から地域包括ケアシステム(後述)の構築にかじを切っています。

 市民のみなさんもご存じの通り、日本は今後少子化に向かっていきます。その前提の上では現在ある病院以上には数(病床数)を増やすことはしない方針です。現在でもすでに病院医療の限界や救急病院の疲弊、そして医療費の増大などがちまたを騒がせている状況で、今後さらに病院のお世話になる患者さんが増えた場合には対応できないことが予想されます。

 一方で、根治不能な疾患に対して苦痛を伴う治療を優先するのではなく“病気とつきあいながら住み慣れた自分の家で穏やかに過ごしたい”という希望を持つかたも増えてきています。そんな中、近年在宅医療というものが注目されてきており、私ども医師会も力を入れているところです。

 しかし、病気を抱えながら住み慣れた地域で自分らしく住み続けるということは医療だけで賄えるものでもなく、また公的な介護保険のサービスを用いるだけで賄えるものでもありません。病気になってからの医療と介護だけでなく、住まいがあり、さらにはそこでの安定した生活の支援、そして病気や寝たきりにならないための予防、これらが提供されなければなりません。この住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供するための全体のシステムを地域包括ケアシステムといいます。

 そのためには住み慣れた住まいでの医療を支える在宅医療をはじめとした医療や介護だけではなくNPO団体やボランティア団体なども含めた地域の力、そして何より市民の方々一人一人が国や市任せでなく自分自身のことにもきちんと関わるという意識が必要になります。“住み慣れた地域で最期まで安心して過ごせる”、そんな三鷹をみなさんと我々医師や市と共に作り上げていければと思います。

2017年12月17日


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