糖尿病
糖尿病は血糖(血液の中のブドウ糖)の値が高くなり、合併症が起きて体調が悪くなる病気です。代表的な合併症としては、視力の低下、腎臓の働きが悪くなる、心筋梗塞、脳卒中、足の壊疽(えそ)などですが、認知症、がん、歯周病なども糖尿病の合併症と考えられています。 現在の日本の糖尿病と糖尿病予備軍は、それぞれ1千万人程度と考えられます。高齢者の約5人に1人が糖尿病なので、隠す必要はありません。私の周りでも少し食べ過ぎた後に血糖を測ると200mg/dl以上になり、食事と運動に気を付けている医師も珍しくありません。食後に検査して、血糖が200mg/dl以上のことが2回あると、糖尿病と考えてよいのです。糖尿病は食事をしないで検査する必要があると考えがちですが、食後に検査することも大切です。 糖尿病の治療で大事なことは低血糖(血糖が下がり過ぎること)を少なくすることです。低血糖は心筋梗塞や脳卒中の引き金になったり、認知症を進みやすくします。最近は薬が多数開発されて、低血糖を起こしにくくする治療が可能になってきています。1日の血糖を連続的に検査する方法も使われるようになり、血糖のコントロールがいいと安心している人でも、実は低血糖が起きている場合もあることが分かってきました。特に低血糖になりやすい薬を使っている場合は注意が必要です。 また、糖尿病で肥満の患者さんが、体重を減らすのと同時に血糖も良くなる治療も可能になっています。この治療では腎臓や心臓の働きが悪くなるのを防ぐことができることも分かってきました。糖尿病と診断されても、全身の目配りをすれば、健康で長生きができる時代になっているのです。 |
2018年7月1日