産婦人科
糖尿病は血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。そして、全身の血管が侵されて目の網膜症、神経障害、腎症などを招きます。妊娠糖尿病は妊娠前には正常の血糖値であった人が、妊娠によるホルモンの変化により高血糖になった状態で、妊娠中に初めて発見されたものをいいます。 妊娠糖尿病は妊婦全体の5%くらいですが、家族に糖尿病の人がいる、以前の妊娠で妊娠糖尿病になった、巨大児出産の経験がある、高齢妊娠や肥満などの要因がある人は、ない人の3倍以上発症しやすいといわれます。妊娠中は胎盤から出るホルモンのインスリン拮抗(きっこう)作用や、胎盤でインスリン分解能が高まることで、妊娠前と比べてインスリンの需要量は2倍に増加します。インスリンが低下すると、母体が糖を筋肉や細胞内に取り込みにくくなるうえに、母体は胎児にブドウ糖を送ろうと脂肪酸を分解してブドウ糖を増やすようになって血糖値が上昇し、胎児も高血糖になります。 妊娠中は過食や運動不足になりがちで、食事の内容やライフスタイルの欧米化なども要因となり、妊娠糖尿病は増えています。血糖のコントロールが悪いと、胎児死亡率が高くなり、妊娠高血圧症候群、胎児発育不全や形態異常、巨大児、新生児の低血糖や呼吸障害などさまざまなリスクが出てきます。 しかし、妊娠糖尿病になっても大半の人は食事療法と運動療法で正常の血糖値になります。そして、出産後は自然に元に戻ります。ただし、将来40~60%の人は糖尿病になりやすい傾向があるので、食事など日常生活に注意して、時々血糖値の検査をすることが大切です。肥満は妊娠糖尿病の重要な危険因子なので、妊娠前から日常生活の中でも特に食生活に気を付けましょう。 |
2018年9月2日