皆さんの健康のために

本当の早期肺がん

がん

 早期発見・早期治療が進んでいる胃がん・大腸がんに対し、肺がんはかつては「本当の早期肺がんはない」とまで言われていました。レントゲン写真で小さな肺がんが見つかっても、よく調べるとすでに転移があることもまれではないからです。

 ところで、「早期がん」すなわち100パーセント治るがんとはどういうものなのでしょうか。

 胃や大腸など管状の臓器では、一番内側を粘膜上皮という細胞が覆っており、この細胞ががん化して、まず横方向に浅く面として広がっていきます。この段階のものは「上皮内がん」と呼ばれ「早期がん」です。がんが胃や腸の壁の深い筋肉の層まで染み込むように広がると、外部への転移のリスクが出てきます。がんが上皮内にとどまっている段階は、その場所さえしっかり切除すればほぼ100パーセント治すことができますし、これを内視鏡で見つけることが可能です。

 一方、空気の通り道の構造は、管状ではなく、口から気管・気管支と次々に枝分かれがあり(約23回)、最後は無数の小さな行き止まりの袋小路(肺胞)となります。肺がんで一番多い腺がんは、この肺胞の内面を裏打ちしている細胞(肺胞上皮)が、がん化したものです。腺がんの早期段階、すなわち肺胞上皮内のみに広がっているものは、内部に空気があり、通常のレントゲン写真では影として写りませんし、このような肺の末梢(まっしょう)まで内視鏡は到達できません。

 しかし、CT(コンピューター断層写真)ではこの早期の肺がん病巣も淡い影(すりガラス)として写ります。そして、すりガラス成分だけの肺腺がんは、切除すると100パーセント治ることが分かっています。つまり本当に早期の肺がんです。

 近年は、肺の詳細な状況が分かる高精細CTが開発されていますが、昨年世界初で杏林大学病院に配備されたCTでは体の厚さ0.25ミリメートルの薄切り断面像を得ることができ、早期の肺がんの診断に役立っています。

 肺がんも100パーセント治る、上皮内がんが見つかる時代になってきています。

2018年9月16日


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