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甲状腺の病気

その他

 甲状腺の病気は80~90%の割合で女性に多く、あまりよく知られていないため、自分では気付かないことがあります。症状も多様なため、ほかの病気と間違えられがちですが、甲状腺機能は妊娠や出産にも影響を及ぼすことがあるので、特に女性には正しい知識を持ってほしい病気です。甲状腺は喉仏の下にあり、新陳代謝や成長に欠かせないホルモンを作っている小さな内臓です。甲状腺ホルモンの量は健康であれば適正な量が保たれていますが、甲状腺疾患になると甲状腺ホルモンの分泌量が過剰もしくは不足することで、心身にさまざまな症状が出てきます。

 甲状腺疾患は大きく分けると、全体的な病気と部分的な病気の二つに分けられ、全体的な病気は、さらに二つに分かれます。一つは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌する甲状腺機能亢進(こうしん)症で、代表的なのはバセドー病です。もう一つは、ホルモンの出が悪くなる甲状腺機能低下症で、橋本病がよく知られています。部分的な病気については、腫瘍などが挙げられます。

 甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると新陳代謝が良くなりすぎて、車に例えるとアクセル全開の状態になり、燃費が極端に悪くなります。食べても食べても痩せる、暑くないのに汗をかく、お腹を下す、動悸(どうき)や脈が速くなる、手足が震えるなどの症状が出ます。精神面では落ち着きがなくなり、ひどくなるとイライラや不眠を引き起こします。これに対し、ホルモンの量が不足すると代謝が悪くなるため、太ったり、むくんだり、脈が遅くなります。精神面では落ち込みがひどくなり、うつ病のような状態になることもあります。このような症状を更年期障害のせいだと思っていたら、実は甲状腺の病気だったというケースもあるため、思い込みは禁物です。早めに医療機関を受診し、精密検査を受けましょう。

2018年11月4日


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