皆さんの健康のために

高濃度乳房と乳がん検診

乳腺

 乳がんは女性が最もかかりやすいがんで30歳代後半からかかる方が増加し、40歳代後半から50歳代の前半にピークがあり、まさに働き盛り、子育て世代の女性に多い疾患です。

 乳がんに対する積極的な予防法は見当たらず、検診を定期的に続けることが唯一の防衛手段です。日本人は比較的乳腺が小さく組織が緻密で、正常組織と病変部の写真上の濃度差が少ないため、マンモグラフィによる検診では病変が写らない可能性があります。近年、高濃度乳房という検診上の判定がマスコミを通じて問題視され、マンモグラフィ検診での発見困難例として大きな話題となりました。専門家が調べたところでは、日本人女性の約40%がこの高濃度乳房に当てはまり、マンモグラフィ検診には向かないことが分かってきました。

 ではどのように検診を受けたらよいのでしょうか。まずマンモグラフィでは高濃度乳房が多い30歳代で超音波検診が推奨されます。そして40歳になったら一度マンモグラフィ検診を受けるようにします。高濃度乳房かを知ることができると同時に、後年における比較写真を残す意義があるためです。高濃度乳房は個体の特徴なので、がんになりやすいというわけではありませんが、病変が見落とされる可能性があり、日本乳癌検診学会では検診法の見直しについて議論が続けられています。高濃度乳房と判定された方は、以後の検診を超音波検査で受けることをお勧めします。

 平成31年度からはマンモグラフィ検診のみを行っていた医療機関でも超音波検査を選択して受けることができるようになりました。まずは早期発見のため、30歳を過ぎた女性の方には乳がん検診の申し込みをされることを強くお勧めします。

2019年4月21日


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