摂食嚥下(えんげ)とは、人が物を食べる際に、口に入れた物をかんで飲み込みやすい形にし、食道から胃に運ばれる一連の過程をいいます。健康な人の場合、それは意識せずにできます。しかし、この仕組みは体の多くの器官が複雑に組み合わされて成り立っているため、加齢により筋力や反射神経が低下すると、障害を起こすこともあるのです。 嚥下機能が低下すると、次のような食品が飲み込みにくくなります。 (1)パン、クッキー、ゆで卵の黄身などパサパサしたものは、口の中の水分を奪って歯や粘膜にへばり付き、喉にも詰まりやすいです。 (2)のり、葉物野菜などペラペラしたものは、上顎に張り付くことがあります。 (3)お餅、団子などベタベタしたものは、小さくしてもかたまり同士が口の中でくっつき、窒息の危険があります。 (4)こんにゃく、イカなど硬くてまとまりにくい物は、細かくても食塊(しょっかい)を作るのが難しいです。 (5)お茶、お水、ジュースなどの液体は、飲み込み反射が起こる前に気道に入ることがあるので注意が必要です。対応策としては、食事前に唾液分泌を促すマッサージをしたり、市販のトロミ調整剤を利用したりするなどの工夫が望ましいと思われます。 日々の食事を取ることが高齢者にとっては大変な作業となる場合もあります。いつまでも豊かな食生活を送れるよう、心配りをしていきたいものです。 |