皆さんの健康のために

前立腺がん 検診は必要?それとも不要?

前立腺がん(検診)

 がん治療は早期発見・早期治療が大原則といわれています。しかし、検診が重要なことは分かっているけど、予約とか面倒くさいし、痛かったりすると嫌だしと思っている方も多いと思います。

 そんなところへ、2008年に、がん検診の有効性を判定する厚生労働省の研究班から、「前立腺がん検診は住民検診としては推奨できない」とする意見が出され、私自身も考えさせられました。その後、判断のもとになった米国での臨床試験において、検診を受けないはずのグループで、多くの方が実際にはPSA検査を受けていたことが分かりました。そのため、結果が疑問視され、泌尿器科学会では検診を推奨しています。PSA検診が盛んに行われている米国では、前立腺がん死亡率は 1990年をピークに低下傾向にあり、2012年は1990年と比べ約50%低下しています。PSA検診のおかげと考えられています。

ところで、先に述べたように、前立腺がんには、PSAという腫瘍マーカーが存在し、超早期発見が可能となっています。そうすると、100歳過ぎて痛みが出たり、亡くなったりするような病気を今治療する必要があるのかという問題が出てきています。それなら、症状が出てから考えてもよいのではないでしょうか。私もそう思います。しかし、そうは言っても、日本人男性だけで年間1万人以上も前立腺がんで亡くなっているのも事実です。

そこでお勧めするのは、検診で「まず見つける!」。採血でPSAという1項目を追加するだけです。そして、早期治療が有効そうな前立腺がんは早期治療する、経過観察できそうな前立腺がんは経過観察するなど、どんな治療をするかは「後で考える」というのが賢明な在り方ではないでしょうか。

2020年3月15日


会員限定
会員限定
連絡帳みたかい