皆さんの健康のために

「脳神経外科について(地域医療での役割)」

 脳神経外科は、脳・脊髄の中枢神経系と四肢の末梢(まっしょう)神経の疾患を取り扱います。対応する疾患は多くのものがあります。脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷などが主体ですが、脊髄疾患や小児の先天性疾患、感染症、てんかんなども加わるので、新生児から高齢者まで全年代の方が対象となります。大学病院や公的病院など基幹病院では、各疾患に対して手術的治療と投薬治療を中心に、救急医療から慢性期まで幅広い医療を実践しています。

 特に重症頭部外傷や、くも膜下出血などの重篤な脳血管障害は、生命に関わる状況のため一刻を争う緊迫した医療が展開されます。脳神経外科医は日本全国で24時間いつでも不測の状況で発生する疾患への対応を行っています。

 一方、地域医療における脳神経外科は、頭痛やめまい、しびれなどの神経関連症状や頭部の打撲など、日常でもしばしば遭遇する症状の際に、不安や心配をされる患者さんに対して、手術などの高度医療を必要とする状況か、地域で対応し見守る状況なのかをきちんと見極め、適正な医療に導くつなぎ役となります。たとえ軽度な症状と思われる方でも、脳腫瘍やくも膜下出血などの重篤な疾患が隠れていないかを専門的診察とMRI、CT超音波などの画像検査、脳波の機能検査等も活用し判断することが大きな役割となっています。特に、頭痛症状は多くの方も自覚するものですが、正確な診断と適正な治療が必要な状態で、日常の脳神経外科医療でも大きな柱となっています。昨年、重い片頭痛の患者さんに有効な新たな注射治療薬が登場し、つらい症状の改善に福音となっています。

 脳神経外科は、外から見えない脳などの状態をきちんと評価し対応する診療科です。不安な時にはすぐに受診して相談されることをお勧めします。

2022年7月17日


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