皆さんの健康のために

「ぜんそくとCOPD」

 医療機関にはいろいろな専門科がありますが、呼吸器科を受診するきっかけになる症状としては、せき、痰(たん)、呼吸困難が最も一般的です。風邪などでもこのような症状が出ますが、普通は1~2週間程度で治ることが大半です。それ以上、特に3週間以上続く場合には、何らかの呼吸器疾患の可能性があります。頻度的には、気管支ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が代表的です。両方の疾患とも、空気の通り道である気道が細くなることが症状の主な原因ですが、症状の出方にはそれぞれに特徴があります。

 まず、発症する年齢ですが、気管支ぜんそくは小児から高齢者まで、症状が出始める年齢はさまざまですが、COPDの場合は、ほとんどが60歳以上の高齢者です。これは、数十年以上の喫煙習慣がCOPDの原因のほとんどを占めているからです。たまに20代、30代の方でCOPDを心配されて受診される場合がありますが、年齢から見ただけでもCOPDの可能性はほぼ否定できます。また、症状の出方ですが、ぜんそくの場合は夜間、早朝に症状が悪くなりやすいことなど、1日のうちでも症状の強さに変動があること、季節の変わり目に症状が悪くなることなどの特徴があります。

 これに対してCOPDでは多少の季節的変動はありますが、慢性的に何年にもわたってせき、痰、息切れが続きます。息切れについては、ぜんそくでは基本的には発作性で、何カ月も続くのではなく、長くても数日から数週間で治り、その期間中にも症状に変動があります。また、呼吸困難には喘鳴(ぜんめい)を伴う場合がほとんどです。ぜんそくの場合、発作時には安静時でも呼吸困難、喘鳴が出ますが、COPDの安定期は、重症例を除けば呼吸困難は労作時、つまり動いたときのみで、安静時には呼吸困難がないのが普通です。

 両方の疾患とも、放置すれば気道の構造変化を起こすことが知られていますので、早めに受診することが重要です。

2023年3月5日


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