皆さんの健康のために

「緑内障の人が注意すべき内服薬」

 意外と知られていないことかもしれませんが、緑内障の方が内服してはいけないとされる薬があるのをご存じでしょうか。風邪薬、睡眠導入剤、花粉症の際の抗ヒスタミン剤など、種々散見されます。今回は、なぜこれらが緑内障に悪いのかをご説明します。

 すべての緑内障患者が内服していけないわけではなく、閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障が内服してはいけない型に該当します。人間の目の内部には水がたまっていて、隅角と呼ばれる場所から水が排出されます。目を前から見て、黒目の表面は透明なドーム型の角膜に覆われ、その後ろに虹彩と呼ばれる茶色の組織があります。虹彩の真ん中は丸く抜けていて、これが瞳孔です。角膜と虹彩はそれぞれの周辺部で接していて、この接合部が隅角です。閉塞隅角型とは角膜と虹彩の距離が接近していて隅角が狭い状態を指します。隅角が狭いと眼内の水が排出されずに眼圧が高くなることがあります。

 前述の薬剤には、いずれも瞳孔を開く作用があり、瞳孔が開くと隅角が狭くなり、薬を内服後に、眼圧がより高くなることがあります。

 一方、角膜と虹彩の距離が十分に離れていて隅角が広く開いている状態を開放隅角型と呼び、このタイプでは瞳孔が開いても眼圧が上がることはないので、内服しても大丈夫です。

 日本で緑内障と診断されている人では開放隅角型が多いのですが、その一方で緑内障と診断されていなくても、隅角が狭い閉塞隅角型の人もいますので、発作を契機として緑内障が発覚することもあります。一般的に隅角は年齢が上がるにつれて狭くなる傾向があり、知らないうちに緑内障予備群となっている可能性もあるので、自分の目がどのタイプかを把握しておくことが大切です。

2023年6月18日


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