皆さんの健康のために

マダニ感染症

 近年、里山の減少により、野生動物と人間の距離が近くなったことでマダニと人間が接触する機会が増えています。マダニは他のイエダニや南京虫のような小さなダニとは異なる種類の大型のダニで、体長は3~8ミリですが、動物から吸血すると膨らんで20ミリにもなります。熊やイノシシ、鹿などが人間の生活圏に出没するようになり、マダニも一緒に運ばれて来て、草むらや畑、あぜ道などに隠れ、人間や犬、猫などに取り付いて吸血します。かまれても、痛みやかゆみのような自覚症状がないことが多く、ゆっくり吸血され、マダニの体が数倍に膨れ上がってから気が付くことが多いです。すべてのマダニが病原体を持っているわけではないのですが、数%がウイルスやリケッチア、細菌など、種々の病気を引き起こす病原体を持っています。そのほとんどが重症化すると致死的な経過をたどる病気であることが問題なのです。

 毎年日本で400人以上の報告がある日本紅斑(こうはん)熱やツツガムシ病、ライム病、回帰熱は病原体に対する治療薬がありますが、重症熱性血小板減少症候群やダニ媒介脳炎、エゾウイルス熱、また、2018年に発見されたオズウイルス感染症は今のところ特効薬がないため対症療法になってしまいます。とにかく刺されないことが一番です。中高年の登山も流行していますので、野山に行く時は対策をしてから出掛けることが大切です。ペットからの感染も報告されていますので、散歩の後はマダニが体に付着していないか気を付けましょう。何よりもマダニにかまれたら急いで病院に行くことが肝要です。

2023年10月15日


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