大腸憩室について

健康コラム「大腸憩室について」

  大腸の壁が袋状になる状態を大腸憩室といいます。数ミリから大きいと数センチになることもあり、内視鏡で腸管内を観察するとくぼんで見え、注腸検査やCTでは膨らんで見えます。日本では左側、S状結腸に起こりやすいといわれていますが、近年右側結腸(上行結腸)にできる割合が増加しています。

 内視鏡検査ではよく発見されますが、体に影響を及ぼすことはまれで、やや便通が悪くなることもあります。ただ、時に出血(憩室出血)や炎症(憩室炎)を起こすことがあります。通常出血は数日で治まることが多いのですが、大量出血し、輸血や内視鏡で止血しなければならないこともあります。内視鏡での止血が困難な場合、血管造影や手術になってしまうこともあります。また、炎症も抗生剤や点滴で良くなることが多いですが、炎症が強くなって穿孔(せんこう)を起こすこともあり、その場合も手術になることがあります。

 先天的、または後天的な原因で腸管内圧が上昇することで形成されます。憩室は年齢とともに増えるといわれています。後天的な主な原因の一つには「食物繊維の摂取不足」がいわれていますが、根本の原因は解明されておらず、炎症や出血の原因も分かっていないのが現状です。そのため予防も確かなものはなく、食事を注意し、便通を整えることなどが良いといわれていますが、完全に出血や炎症を予防することはできません。

 症状のないうちに大腸の状態を調べておき、憩室が見つかり、下血が続く、または腹痛が強い場合には、早めに主治医に相談いただければと思います。

2025年4月20日


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