帯状疱疹は片側の一定の感覚神経の支配領域に、痛みやかゆみを伴いながら赤い小さな水ぶくれを生じるウイルス性の皮膚病です。過去に水ぼうそうにかかっていれば子どもでも発症しますが、軽症で終わることがほとんどです。ただし、50歳以上の人、特に高齢者が発症すると重症化し、痛みが長期に残ってしまう帯状疱疹後神経痛となるリスクが高くなります。 帯状疱疹の原因は水痘帯状疱疹ウイルスで、初感染は水ぼうそうとして発症します。ウイルスは経気道感染し、所属リンパ節で増殖して血中に侵入後、ウイルス血症を起こし発症に至ります。その後、ウイルスは感覚神経の神経節という場所に入り込んで潜伏してしまいます。こうして疲労や免疫の低下する病気や薬剤などが原因で帯状疱疹を引き起こすことになるのです。顔面に発症すると顔面神経麻痺(まひ)や難聴、耳鳴り、めまいを伴うハント症候群を生じたり、髄膜炎や角膜炎を起こすこともあります。また脳卒中のリスクが上昇するということも最近知られています。 治療は主に抗ウイルス薬の投与ですが、発症後3日以内の投与が望ましいとされています。症状の改善には数カ月以上かかることも珍しくはありません。また、侵される場所によっては運動神経にも支障を来し、運動麻痺や排尿障害を生じ得るので、なるべく早く医療機関を受診して治療を開始してください。 発症を防ぐためには予防接種が最適です。欧米ではワクチンが推奨され、高齢者を中心に接種されておりました。三鷹市でも令和5(2023)年度から50歳以上の方に対する任意接種として費用助成が始まっていましたが、今年度より新たに定期接種として65歳以上の方への費用助成が始まりました。帯状疱疹の重症化や後遺症を発症しないようにするためにも、ぜひワクチン接種を受けることをおすすめします。 |
2025年5月18日