乗り物酔いの予防

健康コラム「乗り物酔いの予防」

 急発進や急停車、カーブで予測外に体が揺らいでしまうと、頭の位置を中枢に伝える内耳からの情報と、車内の閉鎖空間で動いていないと感じる眼からの情報との食い違いで平衡感覚がおかしくなります。生あくびや生唾、冷や汗が出て、吐き気や嘔吐(おうと)にいたる不快な症状で、これ以上は危険だと体が出した警報が乗り物酔いです。
 普段は酔いにくい人を寝不足・空腹にして、バスに乗せ、本を読ませ、急発進や急停車を繰り返すと、約90%の人が乗り物酔いを短時間に起こしたという実験結果があります。一方で、乗り物酔いに効果的な薬と言って片栗粉のカプセルを乗車前に服用してもらうと症状は有意に抑制でき、乗り物酔いにはプラセボ効果があることが知られています。また、楽しい雰囲気ではカテコラミンの分泌が盛んになり、酔いにくくなります。
 乗り物酔いを避けるため、乗る前には、空腹・満腹・脂肪分の多い食事は避ける、寝不足を避ける、乗車前に排便する、きつい服・下着、厚着を避ける、事前に酔い止めを服用することなどが大切です。
 乗ってからは、後ろ向きの席は避け進行方向の視界が開けた位置に座る、進行方向の遠くを見る、頭を揺らさない・振り返らない、リラックスして呼吸は深くゆっくり、柑橘類の果物やジュースは避けることなどを意識しましょう。
 酔ってしまったら、窓を開け外気を入れる、深呼吸、シートを倒して横になるか頭を地面に対して水平にする、そして症状が出た後からでも酔い止めを内服するなどの対策を行っていきましょう。

2025年11月16日


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