認知症、そして「もの忘れ」

健康コラム「認知症、そして「もの忘れ」」

 この言葉を知らない人はいないでしょう。いま読んでいる方の中には今まさに自分の変化が気になっている人、認知症の人と暮らしている人、すでに認知症である人がいるかもしれません。また、不安や恐怖の中で手が震えて読んでいる方もいるかもしれません。一つだけ大切なことをお伝えします。「認知症=もの忘れ」ではありません。認知症の始まりは、多くの場合「忘れた」という自覚ではなく、「うまく記憶できない」ことから始まります。吐き気や痛みなどとは違って、「忘れる」は自覚できますが、記憶しづらさは自覚できません。やがて周囲から「最近、忘れっぽいね」と言われるようになります。思い出してください。忘れてもいないのに「なぜ忘れた」と叱られたときのことを。それがたとえ1回でも、あの理不尽さと悔しさがよみがえりますよね。認知症の多くはこの「記憶しづらさ」から始まります。周りがどう自分に対して「忘れた」と言い立ててきても、あろうことか自分には「忘れた」という体験がないのです。はたから見て「忘れた」としか思えない現象は、本人の体験の中ではそうではなくて、記憶がしづらくなっているのです。共に暮らす人がいるのなら、このことに立ち返って接してみてください。人との関係の中に再び大切なものを取り戻せるかもしれません。

2026年5月17日


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